2018年、ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授(78)。「がん免疫治療法の発見」で、その栄誉に輝いた。従来の免疫を強くする方法を模索するのではなく、免疫細胞にブレーキ機能があることを発見し、このブレーキを外して、がんを攻撃する治療薬を完成させた。薬の開発には大阪の製薬会社、小野薬品工業とアメリカの大手製薬会社、ブリストル・マイヤーズと共に進め2014年、「オプジーボ」が誕生した。産学連携の成功例と誰しもが思っていた「オプジーボ」だが、本庶医師は2019年、小野薬品に対し訴訟も辞さない考えを示した。なぜか…。特許料率の設定の低さだ。
1992年「オプジーボ」の元となる分子「PD-1」を発見し、がん治療に応用できないか製薬会社を模索するなか、2006年、小野薬品と特許契約を結んだ。当時、日本では研究者の知的財産を守る専門家も少なく、企業と取り交わす特許料率は極めて低かったという。その後、特許料率の引き上げの交渉を進めるなか「オプジーボ」に酷似した薬を別の大手製薬会社が販売を始め、企業間同士の法廷争いになった。小野薬品は本庶教授に裁判協力を依頼。裁判の結果が出た際には小野薬品が得られた成果配分の40%を求め、了承を得て出廷し証言したという。裁判は小野薬品側の勝訴的和解に終わった。しかし、後に示された配分の料率は1%だったと訴える。その後、小野薬品は特許料と配分の引き上げの代わりに300億円を京都大学に寄付する提案をしてきたが合意には至らなかった。研究の対価が正当に支払われていれば1000億円にのぼる、と本庶教授の担当弁護士は指摘する。
本庶教授は研究者が得た成果は正当な対価として還元されるべきだと訴える。裁判という強硬手段に出た背景には基礎研究者を守りたいという思いがある。日本では対価を求めて巨額の金銭を要求することに対し誤解や偏見もあるが、敢えて提訴に踏み切った背景には、先を見据えた研究者としての意地がある。
がん医療を変えた免疫治療の開発者が新たに投じる一石の行方を追う。
ナレーション:湯浅真由美
1992年「オプジーボ」の元となる分子「PD-1」を発見し、がん治療に応用できないか製薬会社を模索するなか、2006年、小野薬品と特許契約を結んだ。当時、日本では研究者の知的財産を守る専門家も少なく、企業と取り交わす特許料率は極めて低かったという。その後、特許料率の引き上げの交渉を進めるなか「オプジーボ」に酷似した薬を別の大手製薬会社が販売を始め、企業間同士の法廷争いになった。小野薬品は本庶教授に裁判協力を依頼。裁判の結果が出た際には小野薬品が得られた成果配分の40%を求め、了承を得て出廷し証言したという。裁判は小野薬品側の勝訴的和解に終わった。しかし、後に示された配分の料率は1%だったと訴える。その後、小野薬品は特許料と配分の引き上げの代わりに300億円を京都大学に寄付する提案をしてきたが合意には至らなかった。研究の対価が正当に支払われていれば1000億円にのぼる、と本庶教授の担当弁護士は指摘する。
本庶教授は研究者が得た成果は正当な対価として還元されるべきだと訴える。裁判という強硬手段に出た背景には基礎研究者を守りたいという思いがある。日本では対価を求めて巨額の金銭を要求することに対し誤解や偏見もあるが、敢えて提訴に踏み切った背景には、先を見据えた研究者としての意地がある。
がん医療を変えた免疫治療の開発者が新たに投じる一石の行方を追う。
ナレーション:湯浅真由美
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